冬の山が見える所に住むために

日本のドラマや、音楽、チェーン店のことを書いていると思います。「ウワっ」ってなった時に書いていってる。22歳。

これとあれとはつながっている

朝起きてから全部の出来事がパチパチとあるべきところにはまっていく日というのは、やもすればコスモ的なスケールに逍遥してしまいたくなるような、戸惑いと多幸感に満ちた奇跡だ。

 

今日、宇宙にあいた穴でうっかりつながってしまったのは、

・曇天の金沢

ジョン・ケージ

鈴木大拙

私、星野源、飲食店の店員、土井善晴、どこぞのラジオパーソナリティの小さなバブルは今日うっかり吸着し合い、私たちは好きなところを歩き回れるオープンワールドなでっかいバブルに包まれた。

 

あと今日は授業でやたらと大学院を勧められる日でもあった。分野違いの2人の先生が今日なぜか大学院を強めに勧めていた。今日だけで大学院の解像度が上がったと思う。楽しそう。3限に受けている授業の担当が面白い。interestingというよりfunny。作画が漫画太郎な30代ファッション関係。東大系の頭の速さじゃないあんまり知らんかったタイプの頭の速さがあって、授業面白い。高校の時は勉強せず学ランを短ランに詰めたりしていたらしい。浪人+仮面浪人+入学時3.11。アアー貴重なロールモデル(人生「遅れ」がちな)。

 

いいふうに言ってるけど1限は本当に眠くて3分の1話を聞けなかったし3限のミニグループワークでは個人プレイ炸裂してしまったしこの後も授業とアルバイトがある。ZIN SAY〜...

九月荘

約4年ぶりに、引越しをすることにした。寂しい。今の部屋のこと書く。初めて一人暮らしをした。一人で浪人生やってた。このドアを開けて毎日予備校通って、しんどくて泣いて床に倒れてたら床に外壁からの浸水でオレンジのキノコ生えてるの見つけて(フローリング総貼り替え)、大学に受かって春。この台所で料理を覚えて、この部屋で誰にも出会えずに2020年を耐え、辛い日もドア開けたら帰って来れたと思えたし、私の好きな人たちがたくさんいたこの部屋、母もボンちゃんもいたこの部屋、雪は3回積もって、台風も地震もあった。不眠になったとき何も言わずに朝まで付き合ってくれたベランダも、毎日が非常事態だった外の世界に送り出してくれたクリーム色のドアと金色のドアノブも、磨いた床もコンロも風呂場も便器も、ベランダから見える夜景も夜の風の匂いも、絹糸みたいな色んな日の雲も、朝5時の出窓の明るさも、東の空も忘れない。この家は私がやっと人間らしくなる過程を丸々見ている。頑張ったことも頑張れなかったことも全部知っているこの部屋から、私は出ていかなければならない。人生でした引越し(計8回)は、どれも悲しむ暇もなかったけど本当はどの時もここを離れたくないと思ってた。近づけなくなるのも、この家の匂いを思い出せなくなってしまうのもすごく嫌。5.5畳は今の私が住むには狭すぎるし、週末夜は階下が騒がしく(彼らももう引越してしまった)、北側の冷気は寒いし節水とかけ離れたトイレには流す度に水とともに流れてゆく硬貨が見えたけど、安全で太陽が暖かくて、綺麗で見晴らしがよくて、近所の子どもの声が聞こえて、友だちが近くにいることはこの上なく安心できることで、「狭い狭い」って言って3年9ヶ月。結局、生まれた家の次に長く住んだ。知らない土地の狭い住まいを住める場所に変えていくのは、不安と、不思議と、孤独と、挑戦と、楽しさに溢れていた。長い時間だった。ほんとうに、全部、忘れたくない。

ココイチにうずらフライが復活してたので泣いて喜んだ

2013年に忽然と消えた「うずらフライカレー」。なくなったときどうしようもなくて卓上のあのハガキを書いて出したうずらフライカレー。今日ココイチに行ったらうずらフライが串に刺さって復活していた。「ココイチ うずら 復活」と検索して、世界に潜在的に存在していたココイチうずらフライカレーを愛する者たちと精一杯喜びを共にした。つらい10年間だったね、おめでとう!

突然の再会に戸惑って、どうしてもうずらフライを付けられなかった写真。もう二度となくならないように次からは毎回たのみます。あぁまじで感極まってる。

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ジョイフルというファミレス

記憶の襞に沈み込んでいた幼少期の記憶のようにして「ジョイフル」というファミレスがあることを思い出した。私はたぶんあれを京都新田辺でしか見たことがなく、新田辺から引っ越して以降、上京して現在に至るまでそのロゴデザインゆえに「デニーズ」と同一化してしまっていたのだと思う。デニーズにどこか親近感があったのはジョイフルへの郷愁をデニーズの看板に乗せていたからであったのか。なおジョイフルには行ったことがない。そしてどなたか、昆布茶のあるドリンクバーを提供しているファミレスをご存知の方はご一報を。

 

追記:「ジョナサン」も名前が似ている。いま知ったことだがジョナサンはほぼ関東にしか店舗がないらしく、デニーズも私の地元である大阪府の郊外や京都には店舗がないらしい。(※混乱させる意図はないので整理しておく。すかいらーくグループの青き騎士が「ジョナサン」、日本ではセブン&アイの傘下・黄色と赤のアットホームレストラン「デニーズ」、そして私が行ったことない黄色と赤が「ジョイフル」である。)おそらく私は東京に来て初めてジョナサンとデニーズというものに直面し、懐かしき「ジョイフル」の記憶は色彩を「デニーズ」が、響きを「ジョナサン」がというふうに記憶を分有されていたのだろう。ここまで読んでくれたどなたか、昆布茶のあるファミレスをご存知ないか。

やぶられることのない約束

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バンプのライブに行ってきました。BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee。2022年11月22日、Zepp Fukuokaにて。

 人は簡単に死んでしまうということをわたしたちはそれぞれ、たぶんとてもよく知っている。どんなに些細な別れでもそれは本当は乗るべきではない賭けだと気付いている。わたしたちが会えなかったこの3年、少なくない人が居なくなった。
 昨日も明日も一緒にいることにひとつの不自然もないはずのわたしたちは引き裂かれ、自分で言う「またね」にどうしようもなく動揺し傷付く。うちらこんなに気が合って、同じときに歌って同じときに泣いて、絶対に破らない約束をするのに。命をどこかに預けるようにしてわたしたちが別れねばならないことはもうわからない。だから何はともあれ必ずここに戻って来れるように、あなたは約束をするんだね。
 私たちは、うるさいくらいに約束をしてくるあなたに生かされている。あたたかくして寝ること、しんどかったら隣の人に言うこと、自分の声で歌うこと、楽しくいること、生きたあなたと必ずまたどこかで会うこと。約束をしてしまったから、わたしは生きる方を選び続けられているのだと思う。同じところで、ずっとうるさい音を優しく鳴らしてあなたたちが待っていることで、どれだけの人が生きていけていることだろう。
 アンコール2曲目。藤原基央は長いことマイクを離れた。ここにいないきみと、わたし(たち)と、あなたたちの唄が鳴りひびいたあの長い長い”無音”は、死という深い溝を余裕で埋め尽くした。歌われない歌を誰もが聴いていた。このライブでいちばん大きい音が鳴っていた。
 ここにあなたがいる喜びと、居ないかもしれない悲しみがピッタリと重なるところに立たされて、わたしたちは毎度々々悲しみに賭して「またね」と言いあって、そんな賭けの意味などないと打ち消すように絶対にまたここに会いに来るのだ。その約束は何年も何十年も破られていない。BUMP OF CHICKENは待つバンドだと思う。だから好きだし、待たれにいってしまう。こんなに幸せなことは人生で本当にそうそうないことであるとわたしは自負している。

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以下セットリストネタバレ

 

 

ここで間接的に言及した曲:R.I.P.、Flare、66号線。ガラスのブルース(アンコール2曲目)。
行った人(行ってなくても)会ったとき話そうね〜🫶🏻

私が観てる2022秋ドラマ

 みなさん地上波のドラマってどのくらい観てますか?テレビドラマってすごいんです。「ドラマみたいな展開w」っていう、ドラマと聞いて多くの人が想像する"あの感じ"ありますよね、あれものすごく実態と乖離してるなあ...と思います。安っぽい・ベタ・つじつまが合わない。日本のドラマは低レベル!じゃあわたしという人間は何なんだ?そんなカスコンテンツにわたしが毎クール膨大な時間を割くわけがなかろう?(それはそうと)実はテレビドラマは昔も今も私たちが生きる「俗世の鏡」として着々と面白いことをやり続けているんです。
 んんん...今期もドラマが面白い!から見逃し配信が間に合ううちに早く知ってほしい観てほしい!ので手慰みに、10月期にわたしが観ている(観る予定の)テレビドラマを簡単にメモしておきます。試しにわれわれドラマっ子がどこを見てドラマを選んでいるのかに沿って紹介してみます(情弱なのかわたしは手当たり次第1話を録画することから始めてしまうからできるか不安なのだけれど)。
 後から見返すとかなりドラマ初中級者向けになってしまっていますが、ドラマ全然観ない!という方は、気になった太字のドラマから騙されたと思って観てみてください。ツイッターのトレンドで世間を知るのもいいですが「俗世の鏡」たるテレビドラマで世間を知るのも乙なのでは!

 

<スタッフに期待大>

No.1『エルピスー希望、あるいは災いー』月曜22時/フジ系 ※10.24~
出演:長澤まさみ、眞栄田郷敦、鈴木亮平三浦透子三浦貴大ほか
あらすじ:死刑囚に冤罪疑惑浮上!?エースの座から転落した元人気女子アナ・浅川恵那が、若手ディレクター・岸本拓朗と真相解明に向けて立ち上がる!(HPより)
HP:エルピス —希望、あるいは災い— | 関西テレビ放送 カンテレ

 渡辺あや脚本です!渡辺は朝ドラ『カーネーション』(2011)、『今ここにある危機とぼくの好感度について』(2021)や『ワンダーウォール』(2018)などNHKのドラマで多く脚本を手がけています。時には「攻めてるなー」と感じるほどドラマの物語と政治的なトピックとを深く結びつける作り手で、わたしはとても信頼しています。来週からの放送ですが、今回は死刑制度やテレビ報道などについてどう描くのかも期待したいところです。監督は『モテキ』(2010)や『ハロー張りネズミ』(2017)の大根仁

No.2『ジャパニーズスタイル』土曜23時半/テレ朝系 ※10/22~
出演:仲野太賀、市川実日子要潤、KAƵMA、石崎ひゅーい、檀れい菅田将暉柄本明ほか
あらすじ:さびれた温泉旅館に出戻った柿丘哲郎だったが...(HPより抜粋)
HP:土曜ナイトドラマ『ジャパニーズスタイル』|テレビ朝日

 このドラマ言うべきことが山ほどあるんです!まずキャストが頼もしすぎますよね。昔インタビューで、ひと足先に売れっ子となっていた菅田将暉が同世代で唯一太賀(当時)には「負けた」と思ったとライバルとして意識していると言っていたのを思い出します。その二人もさることながら、このドラマはテレビ朝日初の「本格シットコム」(シチュエーションコメディーの略:限られた場面セットで繰り広げられるコメディードラマ。例えば『フルハウス』(1987~1995)。)で、少しズレたコミカルな役でも信頼がおける要潤や、お笑いコンビ「しずる」のKAƵMA(今年1月に本名からひっそりと改名)、いつも飄々とすごいことを演っている超ベテランの柄本明などなど、演技力と人間力とを兼ね備えた面々がどんなシットコムをみせてくれるのか、ものすごく期待してしまいます...。そして脚本はやはり!金子茂樹なのです。『コントが始まる』(2020)、稀有で荘厳でかっこよくておもしろくて大好きです。『プロポーズ大作戦』(2007)や『SUMMER NUDE』(2013)を観ていた方もいるのではないでしょうか。人間の成長や共生を緻密に描く脚本家です。大河ドラマの60周年を記念して来年2月に放送予定の『大河ドラマが生まれた日』(NHK)の脚本も担当します。昨年の『コントが始まる』は劇中にコントがしっかりと挟まっているドラマだったのですが(そのコントユニットが売れるかどうかはともかく)不条理コメディーが好きなわたしのツボは完全に押さえられていたので、今回のシットコムという「制約の遊び」をどう展開していくのか、楽しみにオンエアを待ちたいと思います!監督も深川栄洋で昨年の『和田家の男たち』(脚本大石静)もよかったのでこれまた楽しみ。

 と、ここまで書いて思ったのですが今期はしっかりとした脚本を書く作家が担当するドラマが多いこと多いこと...!
 他にも『ファーストペンギン!』水曜22時/日テレ系(現在3話)森下佳子で明確にフェミニズム的でわたしのような人間が励まされましたし、『一橋桐子の犯罪日記』土曜22時/NHK総合(現在2話)は『バイプレイヤーズ』(2017~2021)や『有村架純の撮休』(2020)(やEテレみいつけた!』)などのふじきみつ彦で、中年女性の試行錯誤をポジティブに描いています。
 また月9『PICU 小児集中治療室』月曜21時/フジ系(現在2話)は、2019年から合計3クールにわたって厚い支持を集めた『監察医 朝顔』のスタッフとともに、脚本は昨年『うきわーー友達以上、不倫未満ーー』(テレ東系)で男/女の枠組みを越境する微妙で繊細な関係性を描いた倉光泰子がフジテレビの医療ドラマの経験の蓄積とともに小児医療の現場を描きます。
 先日始まった本田翼主演の『君の花になる』火曜22時/TBS系(現在1話)吉田恵里香は『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(通称チェリまほ)』(2020)や『恋せぬふたり』(2022)でセクシュアリティをめぐるドラマも意欲的に手がけています。

 とこんな感じで<スタッフに期待>だけで観ているドラマの8割くらい出てしまうほど今期は期待値が高いのです。この他にあと3本観ているものがあるので紹介しておきます。

『silent』木曜22時/フジ系(現在3話)
出演:川口春奈目黒蓮鈴鹿央士、夏帆風間俊介篠原涼子ほか
HP:silent - フジテレビ

 ノーマークだったんです。こんなにすごいと思ってなくて!8年ぶりに再会した「好きだった人」は難聴を患いほとんど音のない世界に生きていて...というあらすじ。今のところ「すごいすごい」と圧倒されるばかりで、すごさを言葉にできていない状態で恐縮なのですが、簡単に言うと「知らなさ」に突き放され、「この感じ知ってる」に心をえぐられ、傷が再生する、のを感じる、ひんやりとした落ち着いた記憶のジュクジュク...みたいな......ぜんぜん伝わらないですね...。昨年末、脚本家の登竜門である「フジテレビ ヤングシナリオ大賞」を受賞した生方美久が脚本。プロデュース・演出・音楽はそれぞれ村瀬健得田真裕などのドラマづくりのベテランが担当しています。連ドラは放送されている年や季節をそのまま反映した時間設定になっていることも多く、わたしは中でも秋冬のドラマが好きなのですが、本作も観た瞬間「ああ秋のドラマが始まった...」と感じて、ドラマの季節感に久しぶりに興奮しました。コート引っ掛けて人に会いたくなる季節大好きです。放送後の人気をうけてTVer今までの回が期限延長されているようなので フジテレビで放送中のドラマが、5話が放送される直前まで一挙配信しているようなので、ぜひ観てみてください。(TVerTVer - 無料で動画見放題

孤独のグルメ Season10』金曜24時12分/テレ東系(現在2話)
 言わずと知れたテレ東ドラマの先駆け『孤独のグルメ』。Season10までいってるんですよ!基本構造である<輸入雑貨商を営む井之頭五郎がふらっと入ったうまい店がおいしい>を理解していればどこから観ても絶対に大丈夫です。実は始まった当初は五郎の過去の恋模様などの重めの人間ドラマが示唆されていたのですが、いつのまにか五郎さんのバックグラウンドはどこかへ行ってしまいました。一方で、飲食店が大きな打撃を受けたコロナ禍以降のSeasonや特番ではお店の従業員さんのカットが多く差し込まれるようになり、今を映すというテレビドラマの側面がよく感じられるようになっています。(五郎さん個人事業主なのにインボイスのCM出てていいんだろうか...)

『つまらない住宅地のすべての家』月〜木22時45分/NHK総合(現在8話)
 元V6の井ノ原快彦が、どこにでもある住宅地で空回りする自治会長を演じます。この「夜ドラ」の枠はおなじみの「朝ドラ」の夜版で、前回の『あなたのブツが、ここに』(2022)ではコロナ禍のキャバクラから宅配業界へ職を変えた主人公とその周囲をリアリティとともに描き話題になりました。毎日あるのでまだ数話観れておらず正確なことが言えなくて情けないのですが、ドラマ界隈(なんか胡散臭い!)でも高い評判が聞こえてきていて楽しみにしています。

 

 と、計9本となって大忙しの秋ですが、ぜひお好きなドラマを手に取ってみてください。わたしはテレビドラマと社会との相互作用のある関係性をみているのが好きです。この文章も習作でしかないのですが今後も個別のドラマ評も書いてみたいと思います。誤字などあったらすみません。それではいい秋を。

今日は葬式に出た

 生前両手におさまるくらいしか会っていないけれど社会的に見たらとても近い親族関係になる女性のお葬式に出た。法的に薄い(たぶんもう正確には辿れない)結節点があるのみだから帰ってこなくてもよかったのだけどそういう相対的な関係性のことではなく、わたしと知り合えたことがとてもうれしいということが全身から出ていて、良くしてもらった人だったと思ったから授業1コ飛ばして帰ってきた。もともとの帰る日を小さく無理をしてずらしたのは、もしかしたら「今」だったんかなというタイミングだからだった。

 わたしは菊の花が好きだ。「家に普通に花瓶で飾りたい」と言いふらしてるのでもう何回も聞いたわという人間もいるだろう。今日はみずみずしいはじけるような花をたくさん触った。胡蝶蘭の花弁の表面にパールのような光沢があることを知った。明日は奇跡的に当たったレアなイベントに行く。きっと楽しい。

追記:その人はヘルパーさんや嫁などの、実際に末後を看取った人達にはめちゃくちゃ評判が悪かったらしい。知られたい面だけを上手に見せる人というのはいる。