冬の山が見える所に住むために

日本のドラマや、音楽、チェーン店のことを書いていると思います。「ウワっ」ってなった時に書いていってる。22歳。

私が観てる2022秋ドラマ

 みなさん地上波のドラマってどのくらい観てますか?テレビドラマってすごいんです。「ドラマみたいな展開w」っていう、ドラマと聞いて多くの人が想像する"あの感じ"ありますよね、あれものすごく実態と乖離してるなあ...と思います。安っぽい・ベタ・つじつまが合わない。日本のドラマは低レベル!じゃあわたしという人間は何なんだ?そんなカスコンテンツにわたしが毎クール膨大な時間を割くわけがなかろう?(それはそうと)実はテレビドラマは昔も今も私たちが生きる「俗世の鏡」として着々と面白いことをやり続けているんです。
 んんん...今期もドラマが面白い!から見逃し配信が間に合ううちに早く知ってほしい観てほしい!ので手慰みに、10月期にわたしが観ている(観る予定の)テレビドラマを簡単にメモしておきます。試しにわれわれドラマっ子がどこを見てドラマを選んでいるのかに沿って紹介してみます(情弱なのかわたしは手当たり次第1話を録画することから始めてしまうからできるか不安なのだけれど)。
 後から見返すとかなりドラマ初中級者向けになってしまっていますが、ドラマ全然観ない!という方は、気になった太字のドラマから騙されたと思って観てみてください。ツイッターのトレンドで世間を知るのもいいですが「俗世の鏡」たるテレビドラマで世間を知るのも乙なのでは!

 

<スタッフに期待大>

No.1『エルピスー希望、あるいは災いー』月曜22時/フジ系 ※10.24~
出演:長澤まさみ、眞栄田郷敦、鈴木亮平三浦透子三浦貴大ほか
あらすじ:死刑囚に冤罪疑惑浮上!?エースの座から転落した元人気女子アナ・浅川恵那が、若手ディレクター・岸本拓朗と真相解明に向けて立ち上がる!(HPより)
HP:エルピス —希望、あるいは災い— | 関西テレビ放送 カンテレ

 渡辺あや脚本です!渡辺は朝ドラ『カーネーション』(2011)、『今ここにある危機とぼくの好感度について』(2021)や『ワンダーウォール』(2018)などNHKのドラマで多く脚本を手がけています。時には「攻めてるなー」と感じるほどドラマの物語と政治的なトピックとを深く結びつける作り手で、わたしはとても信頼しています。来週からの放送ですが、今回は死刑制度やテレビ報道などについてどう描くのかも期待したいところです。監督は『モテキ』(2010)や『ハロー張りネズミ』(2017)の大根仁

No.2『ジャパニーズスタイル』土曜23時半/テレ朝系 ※10/22~
出演:仲野太賀、市川実日子要潤、KAƵMA、石崎ひゅーい、檀れい菅田将暉柄本明ほか
あらすじ:さびれた温泉旅館に出戻った柿丘哲郎だったが...(HPより抜粋)
HP:土曜ナイトドラマ『ジャパニーズスタイル』|テレビ朝日

 このドラマ言うべきことが山ほどあるんです!まずキャストが頼もしすぎますよね。昔インタビューで、ひと足先に売れっ子となっていた菅田将暉が同世代で唯一太賀(当時)には「負けた」と思ったとライバルとして意識していると言っていたのを思い出します。その二人もさることながら、このドラマはテレビ朝日初の「本格シットコム」(シチュエーションコメディーの略:限られた場面セットで繰り広げられるコメディードラマ。例えば『フルハウス』(1987~1995)。)で、少しズレたコミカルな役でも信頼がおける要潤や、お笑いコンビ「しずる」のKAƵMA(今年1月に本名からひっそりと改名)、いつも飄々とすごいことを演っている超ベテランの柄本明などなど、演技力と人間力とを兼ね備えた面々がどんなシットコムをみせてくれるのか、ものすごく期待してしまいます...。そして脚本はやはり!金子茂樹なのです。『コントが始まる』(2020)、稀有で荘厳でかっこよくておもしろくて大好きです。『プロポーズ大作戦』(2007)や『SUMMER NUDE』(2013)を観ていた方もいるのではないでしょうか。人間の成長や共生を緻密に描く脚本家です。大河ドラマの60周年を記念して来年2月に放送予定の『大河ドラマが生まれた日』(NHK)の脚本も担当します。昨年の『コントが始まる』は劇中にコントがしっかりと挟まっているドラマだったのですが(そのコントユニットが売れるかどうかはともかく)不条理コメディーが好きなわたしのツボは完全に押さえられていたので、今回のシットコムという「制約の遊び」をどう展開していくのか、楽しみにオンエアを待ちたいと思います!監督も深川栄洋で昨年の『和田家の男たち』(脚本大石静)もよかったのでこれまた楽しみ。

 と、ここまで書いて思ったのですが今期はしっかりとした脚本を書く作家が担当するドラマが多いこと多いこと...!
 他にも『ファーストペンギン!』水曜22時/日テレ系(現在3話)森下佳子で明確にフェミニズム的でわたしのような人間が励まされましたし、『一橋桐子の犯罪日記』土曜22時/NHK総合(現在2話)は『バイプレイヤーズ』(2017~2021)や『有村架純の撮休』(2020)(やEテレみいつけた!』)などのふじきみつ彦で、中年女性の試行錯誤をポジティブに描いています。
 また月9『PICU 小児集中治療室』月曜21時/フジ系(現在2話)は、2019年から合計3クールにわたって厚い支持を集めた『監察医 朝顔』のスタッフとともに、脚本は昨年『うきわーー友達以上、不倫未満ーー』(テレ東系)で男/女の枠組みを越境する微妙で繊細な関係性を描いた倉光泰子がフジテレビの医療ドラマの経験の蓄積とともに小児医療の現場を描きます。
 先日始まった本田翼主演の『君の花になる』火曜22時/TBS系(現在1話)吉田恵里香は『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(通称チェリまほ)』(2020)や『恋せぬふたり』(2022)でセクシュアリティをめぐるドラマも意欲的に手がけています。

 とこんな感じで<スタッフに期待>だけで観ているドラマの8割くらい出てしまうほど今期は期待値が高いのです。この他にあと3本観ているものがあるので紹介しておきます。

『silent』木曜22時/フジ系(現在3話)
出演:川口春奈目黒蓮鈴鹿央士、夏帆風間俊介篠原涼子ほか
HP:silent - フジテレビ

 ノーマークだったんです。こんなにすごいと思ってなくて!8年ぶりに再会した「好きだった人」は難聴を患いほとんど音のない世界に生きていて...というあらすじ。今のところ「すごいすごい」と圧倒されるばかりで、すごさを言葉にできていない状態で恐縮なのですが、簡単に言うと「知らなさ」に突き放され、「この感じ知ってる」に心をえぐられ、傷が再生する、のを感じる、ひんやりとした落ち着いた記憶のジュクジュク...みたいな......ぜんぜん伝わらないですね...。昨年末、脚本家の登竜門である「フジテレビ ヤングシナリオ大賞」を受賞した生方美久が脚本。プロデュース・演出・音楽はそれぞれ村瀬健得田真裕などのドラマづくりのベテランが担当しています。連ドラは放送されている年や季節をそのまま反映した時間設定になっていることも多く、わたしは中でも秋冬のドラマが好きなのですが、本作も観た瞬間「ああ秋のドラマが始まった...」と感じて、ドラマの季節感に久しぶりに興奮しました。コート引っ掛けて人に会いたくなる季節大好きです。放送後の人気をうけてTVer今までの回が期限延長されているようなので フジテレビで放送中のドラマが、5話が放送される直前まで一挙配信しているようなので、ぜひ観てみてください。(TVerTVer - 無料で動画見放題

孤独のグルメ Season10』金曜24時12分/テレ東系(現在2話)
 言わずと知れたテレ東ドラマの先駆け『孤独のグルメ』。Season10までいってるんですよ!基本構造である<輸入雑貨商を営む井之頭五郎がふらっと入ったうまい店がおいしい>を理解していればどこから観ても絶対に大丈夫です。実は始まった当初は五郎の過去の恋模様などの重めの人間ドラマが示唆されていたのですが、いつのまにか五郎さんのバックグラウンドはどこかへ行ってしまいました。一方で、飲食店が大きな打撃を受けたコロナ禍以降のSeasonや特番ではお店の従業員さんのカットが多く差し込まれるようになり、今を映すというテレビドラマの側面がよく感じられるようになっています。(五郎さん個人事業主なのにインボイスのCM出てていいんだろうか...)

『つまらない住宅地のすべての家』月〜木22時45分/NHK総合(現在8話)
 元V6の井ノ原快彦が、どこにでもある住宅地で空回りする自治会長を演じます。この「夜ドラ」の枠はおなじみの「朝ドラ」の夜版で、前回の『あなたのブツが、ここに』(2022)ではコロナ禍のキャバクラから宅配業界へ職を変えた主人公とその周囲をリアリティとともに描き話題になりました。毎日あるのでまだ数話観れておらず正確なことが言えなくて情けないのですが、ドラマ界隈(なんか胡散臭い!)でも高い評判が聞こえてきていて楽しみにしています。

 

 と、計9本となって大忙しの秋ですが、ぜひお好きなドラマを手に取ってみてください。わたしはテレビドラマと社会との相互作用のある関係性をみているのが好きです。この文章も習作でしかないのですが今後も個別のドラマ評も書いてみたいと思います。誤字などあったらすみません。それではいい秋を。